平成くん、さようなら 古市憲寿
古市さんのこと、Twitterでフォローするくらいには好きで、どんな小説を書いたのか単純に気になり、手にとってみた。
久しぶりの読書。
軽い気持ちでの立ち読みだったのに引き込まれてしまった。
かなり不安定な心持ちだからか、心がぎゅーっとなった。
死んでも生きててもわからないっていうのはかなり同感だなあ。
そこに存在し続けてるような気がするし、なんなら悲しいことに、死んでしまってからの方がその人のことを考える時間が増えている場合もある。生きている間には気づかないこともあるし。
平成くんの考えは平成くんにしかわからないしそれはみんな同じことなのに、つい自分の物差しで見たくなっちゃうから気をつけないとなあと思った。
どんなに他人の状況をじぶんごとにしようとしてみても想像力には限界があるから、どうせわかんないでしょって心の中で見切るのは自由なんだけど。
でもいちいちわかってもらえないってバリア貼りつつ不幸自慢してるやつみると、それ言ってて楽しい?って気分にもなる。
これは平成くんに対してではなく日常で思ったこと。
青い花 ノヴァーリス
昔は現実を諦めてたの思い出した。
本や映画で擬似体験することでいろんな人生とか感情を味わって、それでいいかなって。
でもやっぱり体験してみると当事者にしかわからないことがたくさんあって。ここまで辛いのかとか悲しいことも含めて。それを知ってしまったからやめられなくなった。現実でもいろんな経験がしたいって欲張りになった。
岩波文庫が本棚にどれだけ並んでるかでその人の教養の高さがわかるって誰かが言っていたって好きな人が言っていたのをおもいだした。
教養という言葉で表せるものはわからないけれど、自分の中身が豊かになっていく感じ、膨らんでいく。
優しくなれる。
マチネの終わりに
なかなかにすきだった。
平野啓一郎さんの原作、読みたいなあ文庫出たら読もう!と思いつつ忘れてたので、映画から。
何度会うかって関係ない。一言交わしただけでも惹かれるものがあるときもあるし、なんならことばを交わさなくても分かることもある。予告からはそういうメッセージが深掘りされていくのかなと思っていたけど、それだけでもなかった。
結構マネージャーさんの執着が印象的で昼ドラみを感じた。けど、震えるくらいの罪悪感を感じながらも、なおのこと近くにいたいと感じるくらい好きなのだと思うと素敵に見える。
二人からしたらたまったもんじゃないと思うけどさ。二人ももうちょっと確かめようよ、足掻こうよって思った。そしたらその時にうまく行っていたのかも。でも現実でも、あとちょっとの部分でうまく噛み合わないこともあるし、りあるだった。
石田ゆりこさん大好きなんだけどちょっと芝居がかってみえたのがやや気になった。でも相変わらず可愛らしい。こんな風な歳の重ねかたをする女性に憧れる。
お母さんとの会話で、お父さんは離れることで、愛情を示してくれたっていうような台詞。以前の自分だったら、自己犠牲的だったり自己満足、陶酔じゃないかなんて感じていやだなんて感じてたけど、それを受け入れるのも愛情なんだなと思えるようになってることに気づいた。以前より寛容になってる。
最近、いろんな作品みてると桜井ユキさんがほんとに目につく。気づいていなかったけどあとからエンドロールで気づくパターンも沢山あって本当に凄い女優さんだなと感じた。
あまり観てる人を信用してないのか、若干カメラワークがしつこいかんじもあったけど、全体を通しては静かな映画で、ラストの終わりかたも含めて好きだった。音楽も素敵だったし、いい時間だった。