満ちたりぬ月 林真理子
高校生で、林真理子の作品を初めて読んだ時は全然惹かれなかったのに。
いつの間に好きになってる。
これこそだなあ。
働く女と家庭にいる女。
どっちも自分が選んだ道なのに、無い物ねだり。
かと言って、羨ましいものを手に入れようとするでもなく、ずっとそのまま無い物ねだり。
迷いは絶対あると思う。
ただ、友人すらこれほどまでに羨ましく、疎ましい、更に言えばいらただしい存在になってしまうのは悲しい。
許したらいいのだけど、許せない気持ちはわかる。
わたしは独身の圭の生き方に共感できたな。
その生き方に共感した上で、圭の目線で見ると、やっぱり絵美子は目障りに映る。
ひとはひと。
言うのは簡単だけど、実際には他人との関係性の中で生きているんだから難しいよね。
自分がどういう存在なのか、自分だけを見て認識するのは難しいもん。
他人と比べることで自分の位置づけを測るしかない。
だから、それが30代になってもわからないもんで、ひとのことを羨んでしまうんだな。