忘れちゃうから

趣味の記録 主に本、映画、舞台、美術、手芸(はんぶん日記)

ひきこもりの弟だった 葦舟ナツ

ひきこもりの兄を持った主人公のお話。20代のサラリーマンの今の生活から昔を振り返る形でストーリーはすすむ。

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主人公のように怠惰な人間にものすごくいらいらしてしまう時期が私にもあった。今も、運が悪いと自分で本気で思っている人間を信用しないきらいがある。

そんなこと言わないし、そういう人を助けたりもするからなんだかんだ優しく見られることも多いけど。期待値が低いだけなんだよ、と教えてあげたい衝動に駆られることがあったのは事実。

そんな嫌な感情を思い出して、読んでた途中でものすごく苦々しい気持ちになった。でも、最近はそういう感情を持っていない。人に厳しくしても何の意味もないことを知った。

 

主人公の妻となった千草にも共感するポイントが多かったけど、同じく乗り越えられたように思う。千草ほど思いつめてなかったけど。

 

帯に、この本を読んで何も感じなかったとしたら、それはある意味で、とても幸せなことだと思う的なことが書いてあったのが、まさにその通りだと思った。久しぶりに色々考えさせられる本が読めてよかった。